阪九フェリー 周防灘で迎える夜明け

神戸・六甲アイランド20:00発、新門司行きの阪九フェリーで九州へ向かった。
新門司港到着予定が8:30。ゆっくりと朝食をとり、露天風呂もある大浴場で風呂にも入ってから降りたかったので、6時半過ぎに起きて身支度を始めた。
乗っていた個室のシングルからは外の様子はわからない。テレビにはリアルタイムで現在地を知らせてくれるチャンネルがあり、それによると、いま山口県と大分県に挟まれた周防灘あたりを航行中らしい。山口県周南市の南側であり、大分県国東半島の北側付近だ。
部屋を出て、船内の展望ロビーに出てみる。船内の窓の外はまだ真っ暗。晴れているのか曇っているのかもよくわからない。
でも・・・日の出は7時15分くらい。もしかして、そろそろ明るくなるのではと思い、デッキに出て見ると・・・。
東の空が明るみ始めていた。水平線付近のオレンジ色、少し上からは濃紺へと続くグラデーション。比較的大きな島は、位置的に姫島か。

天気予報は曇りだった。だから、この景色を求めて起きたわけじゃなかった。ただ、起床時間と冬の遅い夜明けが重なった。冬と夏のどちらが好きかと尋ねられれば何の躊躇もなく夏と答えるが、冬でなければ7時前にこんな美しい夜明けを見ることはできない。清少納言の言う通り、「冬はつとめて」だ。
身体が冷えて耐えきれなくなるぎりぎりまで、この美しい夜明けの海を眺めていた。

志摩 的矢湾の夜明け

さまざまな形の島や半島が複雑な海岸線をつくるリアス海岸の地形が美しい志摩半島。その東側に、細長く入り組んだ的矢(まとや)湾がある。カキの養殖でよく知られており、湾に面して志摩スペイン村がある。

そんな的矢湾沿いの宿に泊まった時のこと。
ちょうど夜が明ける頃に目が覚めた。宿の窓から的矢湾を眺めると、瑠璃色の空に水平線沿いが暁色になり始めていた。ほんのわずかな間に、東雲色から曙色へとグラデーションに移り変わっていく。まだ少し眠かったけれど、もう目が離せない。
わずかな間に、一瞬だけ見せては変わっていくさまざまな色。
明るさが増してくると、波のおだやかな湾の水面も空の色を対称に映して色を変えていく。

そうしてすっかり明けきった空は、真っ青な夏空になっていた。