阿蘇 中岳の噴煙と荒涼たる砂千里

念願だった。中岳の火口。
阿蘇には5~6度訪れたことがあったものの、噴火警戒レベルが高く入山規制がなされていたり、行程上時間がなかったり・・・
草千里までは何度も辿り着いていたのに、一度も見たことがなかった阿蘇中岳の火口。溶岩の岩肌をむき出しに噴煙を上げる、まさに活きた火山。ようやく辿り着くことができたその風景は、地球の脈動すら感じるとてつもないスケールだ。
そしてすぐそばにある砂千里ヶ浜もまた圧巻だった。ここを訪れるまでは、牧歌的な草千里の風景こそが阿蘇の魅力だと思っていた。しかし、草千里までの阿蘇が見せるのとはまったくスケールが違う。黒い火山灰と、荒々しい岩肌が織りなす荒涼たる風景。地球という「星」を感じる、惑星規模の絶景。ここを見ずして阿蘇の魅力を知っているつもりでいたが、大きな間違いだった。こんなものに飲み込まれれば人間なんてひとたまりもないであろう畏怖の念すら感じさせる。
初めて阿蘇を訪れた日から、おそらく20年以上が経っているだろう。そんな長い年月を経て、やっと本当の阿蘇の魅力に触れることができた。

関連
阿蘇 カルデラに広がる草原の放牧風景

糸島サンセット

福岡県北西部、玄界灘に突き出る糸島半島。その海岸線を通る県道54号線は志摩サンセットロードと呼ばれ玄界灘に沈む夕陽が美しく、「日本の夕陽百選」にも選ばれている。
中でも桜井二見ヶ浦の夫婦岩、桜井神社二見ヶ浦鳥居あたりは人気スポットになっていて、周辺にカフェもいくつかあり、夕暮れ時になると駐車場は混みあう。そんな二見ヶ浦からの夕陽はもちろん一見の価値ありだが、少しだけ高台に登ってみると人の姿はほとんどなく、海岸から眺めるのとはまた違った趣きで玄界灘に沈む夕陽を楽しむことができる。
沈んでいく太陽を、水平線に沈むまでただずっと眺めてみた。

夏空ひまわり2021

一面の花風景は、色鮮やかで心癒される。
チューリップや秋桜のように色とりどりの花が一面に広がる風景は幻想的な美しさがあるが、一色に染まる花風景からは壮大な広がりを感じる。中でもひとつひとつの花が大きく、太陽に向かって咲くひまわりが一面に広がる花風景は、他の花とは違った力強さがあり圧巻だ。夏好きとしては、夏が来れば必ず一度はその風景を目にしておきたい。そんなわけで、今年は見ごろを迎えた時期に2箇所のひまわり畑を訪れた。
最初の3枚は兵庫県の小野市立ひまわりの丘公園。約80,000平方メートルの広さを誇る多目的公園に38万本のひまわりが咲き誇る。小野市の市花にもなっているだけあり、その花風景はまさに圧巻。美しさに目を奪われ、炎天下の中でも歩き回ってしまうほどの魅力だ。
次の3枚は滋賀県の守山第一なぎさ公園。冬には早咲きの菜の花(カンザキハナナ)が雪の比良山を背景に咲き誇るのでも有名な場所。こちらはやや機を逸していたようだが、それでも太陽に向かって咲く花の姿は力強く美しい。
来年の夏も、きっとまたこの風景を探し求めることだろう。

海の水戸岡作品で小豆島へ

水戸岡鋭治さんと言えば、九州新幹線 「つばめ」、 「A列車で行こう」 、「ななつ星in九州」、和歌山電鉄「たま電車」、京都丹後鉄道「あかまつ」「あおまつ」・・・など、数々の観光列車を手掛けてこられたインダストリアルデザイナー。その水戸岡さんデザインの魅力的なフェリーが、新岡山港~土庄(小豆島)間で運航されている。
その名も「おりんぴあどりーむ」と「おりんぴあどりーむ せと」。
このうち、2019年に就航したばかりの「おりんぴあどりーむ せと」に乗って小豆島へと旅立った。
これまでにないクルーズフェリーをめざしたとウェブサイトに水戸岡さんのメッセージが掲載されているが、本当にこれまで乗ったフェリーでは見たことのなかったような空間で、ウッドデッキにはブランコがあり、最上階の展望デッキにはなんと船上なのにミニトレインが走っている。
船内のラウンジはとても洗練された上質なリラックス空間で、これも水戸岡さんご自身がおっしゃっておられる通り、まさに華麗なる“海上のサロン”。
敢えてクルマをおいて乗ったので、船内で売られていた、好物の地ビール「独歩」(岡山)をいただきながら瀬戸内クルーズ。驚くほど至高の70分間の船旅となった。しかも2020年1月現在、クルマを載せなければ大人ひとり片道わずか1,090円でこの上質なクルーズが楽しめてしまう。
土庄港では「おりんぴあどりーむ」も見かけた。こちらには足湯設備がついている。

航路、カモメがすぐそばまでやってきた。船と並行してこんなに間近でカモメが見られる光景は、年中見られるわけではなく冬ならではの楽しみだそうだ。

>> 「おりんぴあどりーむ せと」詳細

美しき柱状節理 立岩と虹色の波

美しい海の風景が広がる「海の京都」丹後半島。日本三景のひとつ天橋立付近は多くの観光客でにぎわっているが、半島の北端部に位置する京丹後市丹後町まで来ると、あふれかえるような観光客と出会うことはほとんどなく、静かにその自然美を楽しむことができる。
その丹後町あたりは、山陰海岸ジオパークのほぼ東端でもあり、壮大な景観を見せてくれる場所がいくつもある。
そのうちのひとつが立岩。安山岩からなるこの立岩、とても美しい柱状節理で、高さは20メートル、周囲は約1キロにもおよぶ。
風の強い秋の日、波打ち際で砕けた波が虹を生み出しているのもまたとても美しかった。

西国三十三所・圧巻のダルマ風景 勝尾寺

近畿2府4県と岐阜に点在する観音菩薩の霊場で、その数は観音菩薩が衆生を救う時に33の姿に変化することに由来するという西国三十三所。
そんな中のひとつ、大阪府箕面市にある第二十三番札所・勝尾寺(かつおうじ)は勝運の寺として知られ、境内はいたるところにダルマが並ぶ。
お寺のウェブサイトによると、ダルマは願いを叶えてくれるものではなく、決心を近い、自身と向き合うための存在なのだとか。「勝ちダルマ奉納棚」だけではなく、道端にも、屋根にも、川にも、滝にも、鐘にも・・・境内のいたるところがダルマで埋め尽くされ、圧巻のダルマ風景が広がっている。

関連 西国三十三所結願の地 谷汲山華厳寺の紅葉

広川町 西広海岸の夕景

和歌山県有田郡広川町に不思議な駅名がある。その名はJR紀勢本線「広川ビーチ」駅(町名は「ひろがわ」、駅名は「ひろかわ」)。何が不思議かと言うと、ビーチと名の付く駅ながら目の前に海の姿がないのだ。
その海の見えない“ビーチ駅”から約1.3km、歩いて15分ほどのところにやっと西広海岸という海岸がある。その西広海岸、水平線の方向が西のため、夕陽がとても綺麗。とっぷりと陽の沈む瞬間を眺めることができる、まさに絶景スポットと呼べる。

またとても遠浅の海で、潮の引き具合では鏡面反射が美しく、水の鏡が空を映す風景も・・・。

円を描くあらぎ島の棚田

和歌山県有田郡有田町の清水地区。そこには「あらぎ島(蘭島)」と呼ばれる、とてもめずらしいΩ状に円を描く棚田が広っている。
有田川に囲まれた円形の土地に広がる大小54枚の水田。農林水産省の「棚田百選」に和歌山県からはここが唯一の選出となっている。

映画「おもひでぽろぽろ」のなかに

-都会の人は
森や林や水の流れなんか見で
すぐ自然だ自然だって
ありがたがるでしょう
でも ま 山奥はともかぐ
田舎の景色ってやつは
みんな人間がつくったもんなんですよ

というセリフがあったが、ほんとにここの風景は人の作り出した造形美。

そして、その「あらぎ島」を取り囲むのが有田川(ありだがわ)。ひじょうに美しく透き通り、深いところでは驚くほど濃い碧色を見せてくれる。

近隣の風景 広川町 西広海岸の夕景

美しく透明な海 京丹後 城島

京都府最北端のまち、京丹後市丹後町。
山陰海岸ジオパークの東端にもあたるまち。その中の間人(たいざ)には、城島(城嶋)という周囲4キロメートルほどの小島がある(読みは“しろしま”)。その周辺、とても水が透き通り、美しい風景が広がっている。ちなみに間人は、“間人ガニ”で有名なあの間人。

付近、とにかく水が美しいのなんの・・・

城島は、その名の通りかつて城のあった周囲4キロほどの島で、釣りが好きな人にはよく知られている釣りスポット。西岸は、波食台が広がっている。島といっても丹後半島側から目と鼻の先で、短い橋で渡ることができる。クルマでないとなかなかアクセスが難しい場所だが、城島(城嶋)散策に利用できる駐車場もあるのでクルマであればゆっくりとできる。
堤防に座っていつまでも海を眺めていたくなる・・・そんな美しさだ。

真冬の春風景 守山に咲く菜の花

完全に春・・・3月下旬くらいの景色かと見紛うこの風景、じつはこれ、真冬の写真。
場所は琵琶湖大橋から少しだけ北へ進み、ピエリ守山を過ぎたあたりにある滋賀県守山市の守山第一なぎさ公園で、咲いているのはカンザキハナナという早咲きの菜の花。毎年だいたい12月下旬や1月から2月の下旬にこんな風景が楽しめる。一面菜の花が咲いているのにじつは冬なので、背景に広がるのは雪山というなんとも見事な景色。
そして、菜の花畑の向こうは琵琶湖というロケーション。
寒い日でもこんな景色が目の前に広がると、なんとなく春が来たような気分になり、心が躍る。